生涯学習講座第二回「目に見えないものを描く2」〜絵本の形式で描いてみよう〜

生涯学習センターで月に二度行っている全4回の「アートを身近に楽しむ講座」、第二回目が6月17日に行われました。

前回「感覚を開く」「何も考えない」「完成をさせない」「上手い下手で判断しない」など、とにかく画面と夢中で向き合うポイントを伝え、実践してもらいました。

二度目ともなれば、彼女たちも「壊れてしまうこと」「失敗」に対する恐れはありません。
実に勇ましく、心にゆとりがあり、楽しむ心でいっぱいに集中してくださいました。
嘘じゃなく、本当に素敵な絵が沢山できたと思います。

今回はなんと、絵本の形に挑戦しました。
最初に配った手順通りにはいきませんでしたが、皆さん、果敢に挑戦してくれて、ありがたかったです。
今回配った手順表です。
ピクチャ 3

1. 荒井良二の絵本「モケモケ」を読み聞かせ

実はこれは、学生時代に教育実習先でも一番最初に行っています。
この絵本は色んな言葉で何かを形容することなく、すべてを「モケモケ」で表しています。
文章は「モケモケ〜モケ?モケモケ!」など、モケモケばかりです。
読むほうも大変です。読む人によって表現の仕方は変わるし、聞く人によっても感じ方が変わります。
きっと、昨日読むのと次の日読むのでも違うでしょう。
とてもおすすめな絵本です。
これを、頑張って読みました。ですが、学生の頃のようにうまくできませんでした。汗が沢山出ました。

2. 正方形の10ページの絵本、すべてのページを埋めましょう

絵で埋めます。荒井良二さんにならい、チューブを直接出したり、色んな画材を混ぜてみます。
このために沢山の種類の絵の具を用意しました。
水を混ぜると水彩のような表現ができる色鉛筆、普通の色鉛筆、クレヨン、オイルパステル、チョークのような表現のできるパステル、アクリル絵の具、墨、カラーペン、ポスカ、ラメの絵の具などなど。
のぞからでのWSに利用した絵の具もふんだんに用意しています。

どうだ。何でもできるぞ!

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なんて大胆なんだ!!!!赤と黄色とオレンジのは2歳のお子さんです。お子さんはすげえ。
一番下は、とにかく様々な挑戦を全ページでやってやろう!という気概で、迫力のある発想力と画面を見せつけてくれました。最高だ。
新聞ちぎって何をするのでしょうね!!



パレットの使い方も人それぞれの個性が出ます。
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3. 物語を想像してみよう

描き終えたものに、物語を想像します。
無心で描いた画面をあらためて客観的に感じてみる、ということです。
そしてできる人は、そこに文章をつけてもらい、絵本のようにしてもらいました。
でもなかなか難しい。そこまでの過程を一気にやるのは無謀でした。

4. 読み聞かせよう

最後に自分の作品を読み聞かせしてもらいました。
もちろん皆さん、文章をつけて絵本にできる人もいればそうでない人もいました。当然です!!
無謀でしたから!!
それぞれのページをどんな思いつきで描いていったのか、ページを追うごとにどう変化していったのかを1人ずつ読み聞かせのような形で、聞いていきました。


この方は「まる」を全ページに入れるというルールを作り、幅のある表現に統一感を持たせるというテクニックを駆使していました。初参加ですごいです!
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この方は色んな画材を使って全部おんなじ描き方で色やタッチを少しずつ変えて全ページを埋めました。
そこから想像した物語も面白かったです。
茶色はアイスコーヒーに見え、黄色はひまわりやプリンに見え、緑はレタスやほうれん草に見えたようで、そんな風に色を様々な食べ物や風景にたとえたお話ができました!!
完成度が高い!!
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しかも最後は夢の中。抽象的な絵を、抽象的なイメージで語るなんて!すごいな!
「アイスコーヒーおいしい!」とか「プリンおいしい!」「ほうれん草が好き」などに笑いながらも、最後の「夢の中」というページには、みんなからも「おわあーー」という歓声が上がりました。
日常というのは、ほんとに色んな側面がある。夢もある。現実もある。食べたりお日様浴びたり、色んなことがある。
それを感じられました。日常のロマンティックさとリアルさ。素敵でした。



この方もほんとに素晴らしい。
どの画材を使ってもこの方らしさが出てくるし、なんといっても絵がクールなのです。
何故かというと、おそらくタッチがすべて大体似たものなんです。
しゃっしゃと斜めに線を引いていくタッチが、細かくなったりかすれたり太くなったりという表現の幅と色彩によってイメージが全然違ったものに見え、かつ統一感があるのです。
一流の芸術家じゃないか・・・と思いました。
やっぱ無心で楽しんで生まれた表現は、人をのびのびした心地よさを誘うんだなあって感じました。
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この絵、ほんとかっこいい。
間にはさんだティッシュがくっついてしまって、うっすらと半透明なレイヤーがそこかしこに表れている様子も、狙ったものではないからこそ、面白い。



そして名物画伯のこの方。全ページ、唸り声しか出ないような、もう何も言葉が出てこないような、超大作です。
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もっともっと写真を撮るべきでしたが時間がなく。悔しいですが、全ページにまったく異なる雰囲気があります。
彼女の感受性が、ありとあらゆるものへの感受性が、そして飽くなき挑戦心がこれだけ多様な表現を可能にするのでしょう。
絵の具を多様したのと時間がなかったせいで、びりびりに破れてしまいました。
申し訳なかったですが、それが逆にダイナミックさを生み出していて、とてもかっこよかったです。

全員分紹介できずすみません!!

それぞれがそれぞれの好きなもの、好きな手触り、風景をあらためて意識したようでした。
当たり前のことに気付くことって、なんだか本当に良いもので。

私も沢山の刺激を皆さんから頂けました。

次回は7月1日です!透明絵具(グラスデコ)が満を持して登場します。私の得意分野です。
皆さんの表現が楽しみです。

アートを身近に楽しむ講座は、絵を描く行為の幅広さだけではなく、画材の種類も多様に楽しめる講座です。

ああ、色んなことを楽しむ機会として、次もわくわくしちゃいます!!!

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